アメリカ映画「カウントダウンZERO」Countdown to Zero
2011年 08月 19日
日本は3.11の大地震とそれによって起きた津波に破壊された原発事故によって、改めて核の脅威にさらされている。“今、そこにある危機が起きてしまった日本”には、今、解決しなければばらない実態と、将来の国の方針が早急にためされているのだ。そんな折り、公開されるこのドキュメンタリーは、大小さまざまな核保有国への不安と、危険性を、政府の重人たちや専門家へのインタビュー、そして実際起きた出来事のリサーチと映像を導入し、論理的に説明していく。なぜ、さまざまな国が軍事力を増大し、現代で一番の他国への脅威となる核を保有したがるのか?震災以前によく報道され論議されていた、あの近隣の国の、核ミサイル問題は、もうどこか遠い話のような感じさえするが、今もなお、そんな他国の実態は進行しているのだと、この作品は強い警告を鳴らす。最初、核分裂を立証した物理学者も、将来、冷戦の中でそれが、軍兵器として活用されるだろうと、予期していたというくだりもある。一方、平和利用のため開発された原発も同じく、莫大は放射能を出すプルトニウムからなる核分裂によってエネルギーを生みだしているシステムということも、今回の震災によってはっきりとクローズアップされた。目的利用はかなり違っても、その存在そのものが人の生活基盤をゆるがす脅威なのだ。人類は選択の岐路にたたされている。ちょっと前だったら、このような作品も映画館でかかることは稀だったろう。考えを広げるきっかけになる記録映画だ。(ヴィスタ・89分・11年9月1日)
by faff
| 2011-08-19 18:22
| 映画